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住まいづくりワンポイントアドバイス

2024.02.20

住宅ローンの相談はFPか金融機関か

先ず最初にフィナンシャルプランナー(FP)と金融機関の違いについてお話しをします。フィナンシャルプランナーは資産運用やライフプランニングに関する相談を聞き、その悩みに対して適切なアドバイスをするということしています。すなわち、お金の悩みに対してコンサルティングをするという仕事であり、主に金融に絡む商品(保険商品)の販売をすることで収益を得ています。

次に金融機関(銀行)ですが、預金者からお金を預かり、個人や法人に貸し付けることで利ざやを稼いでいる仕事です。住宅ローンに関しては、直接融資をする立場ですので、安全かつ適切な貸付となるように審査をして、適切な方に対して融資をしています。金融機関にとっての住宅ローンは、個人に対する貸し付けでは最大のものであり銀行の主たる業務の一つとなっています。

さて、住宅ローンの相談をする場合に相談先としてどちらが良いかという質問ですが、「住宅ローンを借りることが出来るのか」、「いくらまで借入することが可能なのか」などの相談であれば、融資を直接する立場である金融機関が適切です。事前審査などの手続きをすることで借り入れ可能か否かの確認をしてくれますし、実際に融資をする立場で現実的かつ適切な支払いを前提としたアドバイスをしてくれます。

フィナンシャルプランナーへの相談は、実際に住宅ローンを借りるようになった場合には長期かつ多額の債務を負いますから、その債務というリスクに対してどのような対処を考えておくか、将来のキャッシュフローがどうなるかなどを確認するような相談に適しています。オリジナルのライフプランを立ててもらい、想定されるリスクに対する対処方法や将来設計の組み方などのアドバイスを受けると良いと思います。

金融機関もフィナンシャルプランナーも施主にとっては必要な相談相手だと思います。それぞれ役割が違い、できることも異なりますから、その役割にあった相談を投げ掛けることを心掛けて下さい。

2024.01.20

注文住宅の標準仕様とオプション仕様

注文住宅はその名の通り、施主の要望に応じて設計し建築する住宅のことです。住宅に関わるあらゆる事を設計士と打ち合わせしていくのですが、その作業は膨大で相応の時間と労力が必要です。その作業の短縮と打合せの合理化を進める為に「標準仕様」や「オプション仕様」というものがあります。

打合せではまず間取りや意匠(ベースプラン)を作ることから始めます。施主の要望に合わせてプランニングを繰り返し基本となるベースプランを決めます。ベースプランが決まれば次に見積りをする作業になるのですが、見積りをするには外部・内部の仕上材や仕様を全て決め、住宅設備機器を選定し、インテリア等もある程度決めなければなりません。この、仕様・設備を決める作業がとても大変で時間が掛かります。この作業を短縮する為に「標準仕様」、「オプション仕様」を定めています。

「標準仕様」は、建築会社側であらかじめ定めた仕様・設備のことですが、建築会社のお勧めというだけでなく、建築会社が訴求したいもの、得意とすることを取り込んでいます。ある意味、建築会社の住まいづくりの考え方や姿勢が反映されたものが「標準仕様」なのです。施主の希望するベースプランで、建築会社のお勧めする「標準仕様」で見積りをすることで、早期に予算を把握することができますので、住宅会社の選定や打合せのスケジューリングがしやすくなります。尚、「オプション仕様」は「標準仕様」以外に選択した仕様・設備のことを指します。特に大手のハウスメーカーなど工業化の進んだ建築会社は、あらゆることに対応できる訳ではないので、あらかじめ「オプション仕様」のラインナップを設定し、選択してもらうようにしています。

本来、注文住宅というのは、施主の要望に合わせて自由に設計し作り上げていく住宅(フルオーダー)のことを指しますが、そこまで求めていない施主に対しては、選択型の注文住宅(セミオーダー)の方が、コストも下げられ、話も早く進められるということもあって、「標準仕様」、「オプション仕様」を採用している建築会社が多くなっています。

施主自身が注文住宅に対して何を求めるものによって選択は変わると思いますので、ご自身がどんな住まいを求めているかを確認し、それに対応している建築会社を選択していくということが大切だと思います。

2023.12.20

災害に強い家、どんな設備が必要ですか?

近年は気候変動問題の影響か大規模な災害が各地で発生しており、住宅建築に関しても災害対策を一番に考えるという施主は多くなっています。本来、住まいは「生命の安全と財産を守る」ことが最大の使命ですから、施主が災害に強い家を求めるのは必然だと言えますし、災害に強い長持ちする家をセールスポイントとして訴求する住宅会社が多くなるのも頷けます。

さて、災害に強い家を考える前に考慮すべきことが建設地の自然環境や立地条件です。雨や雪が多い地域、将来地震の発生が強く疑われている地域、川や海に近く洪水や津波の恐れがある地域など、建設地の特性をハザードマップなどで知っておくことが必要であり、それを知った上で、水の対策が必要なのか、地盤や基礎の対策をすることが必要なのかを考え、それに対応する建物の構造や工法、想定される災害に対応できる設備や仕様にしていくということが望ましい姿です。

お尋ねの「災害に強い設備」ついてですが、まずベースとして考えていただきたいこととしてエネルギー源の「ハイブリッド」です。単一のエネルギーを必要とする設備機器はその供給元がダメになれば全てが使えなくなりますから、そうならないようできるだけ複合のエネルギーにし、再生エネルギー(太陽光や風力)等の設備導入も検討してみて下さい。蓄電池などの装備も設置できるならベターですし、携帯型のエネルギーが使える住宅設備機器にすると対応性も高まります。

建物本体も地震等の影響を極力抑える屋根材の軽量化や、構造の一部に免振装置の導入、避難しやすいような開口部の採用なども有効的な対策です。また、プランニングも重要なポイントであり、シンプルな動線、2か所以上の出入口確保などを考慮することで非常時の対応がしやすくなります。建設地の環境に合わせた対応策を、建築を依頼する建築会社、設計担当の方としっかりと打ち合わせをして、実情に合った、費用対効果を考えた対策を講じることが必要だと思います。

2023.10.20

2024年1月からの住宅ローン

2024年1月から住宅ローン減税の中身が大きく変わりますので、改正される内容、気を付けるポイントについて解説します。まず、大きく変わる変更点として、原則、住宅ローン控除の対象となる建物は「省エネ基準」に適合している住宅であることが必要となります。2024年以降は「省エネ基準」に適合しない住宅は住宅ローン減税を受けることはできませんから、それを証明する為に次の書類を提出する必要があります。

① 建設住宅性能評価書(登録住宅性能評価機関のみ発行可能)

② 住宅省エネルギー性能証明書(登録住宅性能評価機関等のほか設計士も発行可能)

これらの証明書を提出することで住宅ローン控除の対象となる住宅であることを証明するようになります。尚、2023年に建築確認を取得した「省エネ基準」を満たさない建物について2024年に建物が完成し住宅ローン控除を受ける場合には、確定申告時に2023年末までに建築確認を取得したことを証明する「建築確認」の写しを提出することが必要となります。

次に、2024年から住宅ローン控除の対象となる借入限度額が引き下げられます。

① 長期優良住宅・低炭素住宅の場合、5,000万円から4,500万円

② ZEH水準の省エネ住宅の場合、4,500万円から3,500万円

③ 省エネ適合住宅の場合、4,000万円から3,000万円

④ その他の住宅の場合、3,000万円から0円

それ以外の適用条件である、床面積50㎡以上、所得金額20,000,000円以下、工事完了から6ヶ月以内の居住、ローン期間は10年以上という条件は2023年までと変わりません。

住宅ローン減税は、住宅ローンを利用して住宅の新築・取得・増改築をした場合に最大13年間にわたって各年末のローン残高の0.7%を所得税から控除するという制度です。住宅を手に入れる人にとって大変ありがたい制度となっていますので、制度の中身をよく確認し、建築を依頼する建築業者や住宅を取得する不動産会社ともよく相談をして、問題無く利用ができるよう手続きを進めていくようにして下さい。

2023.09.20

注文住宅の外観デザイン

外観デザインは注文住宅の気になるポイントの一つです。お洒落で上品なファサード(建物を正面から見た外観)を作ることは、注文住宅を建てる施主にとって一番の醍醐味であると言っても過言ではありません。また、外観デザインは住宅会社を選択する折に重要な要素の一つであり、住宅会社選びの相談を受けた折には、外観デザインから住宅会社を選別していくこともお勧めすることがあります。

さて、建築の外観デザインには定番と言われるデザインスタイルがあります。日本建築の純和風しかり、洋風建築のクラッシク、モダン、スタイリッシュなどがそれに当たりますが、それぞれデザインの基本となる様式があり、デザインの作り方、使う素材も決まっています。設計士はそれら知識をベースにして、施主の好みを聴き、間取りを考え、両方を上手くリンクさせるようにデザインをしています。

デザイン良し悪しは設計士の個人的な提案力によるところが大きいと思いますが、基本デザインをより良くするポイントになるのが仕上材であり、デザインに相応しい仕上材を上手くチョイスすることで、より、デザインを引き立てることができます。逆にデザインと仕上材がチグハグになると中途半端な外観となってしまい、形だけこだわったバランスの悪いデザインになってしまいます。

施主は建築様式の知識もありませんし仕上材の種類も知りません。多くの場合、デザインは建築を依頼した設計担当者に委ねますので、どんなデザイン(形や色)が好きで、どんな住まいにしたいのかを具体的にかつ適切に伝えなければなりません。それを上手くする方法の一つをご紹介しますと、写真の多い建築雑誌を数冊購入し、自分が好きなデザインや関心がある場所に付箋を付け、それらを見てもらうようにするのです。これは具体的に好みやイメージを伝えるのに非常に役に立ちますし、自分自身どんな好みなのか再認識することができます。

2023.08.25

モデルハウスの建売

分譲地にモデルハウスが建っていることがあります。これは「街角モデルハウス」と言われるもので、展示場兼建売住宅として住宅会社が建築をし、モデルハウスとして一定期間活用した後、建売として売りに出しています。住宅会社がモデルハウスを建築する理由は、一つは新商品を紹介する場として、そして分譲地に建物を建て住まいのイメージを具体的に湧かせることで分譲地の販売促進を期待しているからです。実際、「街角モデルハウス」は展示場のモデルハウスと違い現実味があり、住まいづくりを考えているエンドユーザーにはとても参考になります。

さて、ご質問はこの「街角モデルハウス」が建売として売りに出された時のことかと思いますが、メリットとしては、①モデルハウスとして建てられているので通常の仕様よりもクオリティが高いものが多い、②注文住宅と違いリアルに確認してから購入ができる、③インテリア製品(照明・カーテン・エアコン・家具等)が付いていることが多い、そして、④減価償却をして販売に出されるので通常よりは安いことです。デメリットについては、①モデルハウスとして使用するので所々に傷みはある、②多くの方に見られているのでプライバシーの問題が少々ある、③新築後数年経っている場合が多いので最新設備ではないことがある、④必要としない住宅設備や仕様になっていることなどです。

尚、モデルハウスは未入居物件ですのであくまでも新築として取り扱いますが、住宅ローンの新築の定義は未入居かつ築後2年以内とされていることが多いので、2年以上経っている場合は中古の扱いとなり融資の取り扱いも変わります。実際、モデルハウスを販売する住宅会社側もこの2年を一つの目安として考えていて、それを前提に販売計画を立てているようです。

モデルハウスの購入の最大のメリットは、現物が確認でき、すぐに購入できるという点です。相対的に見てメリットも多く、十分検討に値する物件と思いますが、個人的な好みにどこまで合うか、購入のタイミングが自分たちの住まいづくりのスケジュールと合うのかがポイントになりますから、それらを勘案の上、購入を検討することをお勧めします。

2023.07.20

田や畑に家を建てる手続き

田や畑などの農地を宅地にして家を建てるには農地法や都市計画法による規制があります。これは農地の乱開発を防ぐことが目的で定められていますが、場所によっては厳しく制限されており許可を受けなければ宅地にすることはできません。

都市計画区域のうち市街化調整区域の田や畑は、原則、農家住宅以外の建築は認められていません。(農家を営む方もしくは農家の直系親族)ただし、「50戸連たん制度」に該当する場所であれば、個人で開発許可を受けることで家を建てることはできます。「50戸連たん制度」というのは、建設予定地から55m以内に50戸の住宅が連たんするような場所に限り、個人で開発許可を得ることで居住用の住宅建築を認めるという制度です。

市街化調整区域内で田や畑を造成して宅地にするには、農地転用許可、開発許可を得なければなりませんが、開発許可の手続きは行政書士事務所、建築・設計事務所などに依頼をします。造成計画や建築計画、周辺農地への影響などを審査され、適合することで許可がおります。(農地の種類により手続き方法や許可までの期間は異なります)許可が下りれば造成工事をおこない、役所の工事完了検査を受け、検査済証の交付を受けることで、ようやく建築確認の申請ができます。

一方、市街化区域は市街化を推進している地域なので、田や畑を宅地に転用することは届出だけをすればよく、許可は不要です。また、市街化区域内はライフラインも整っていますし、なければ行政が整備もしてくれます。一定の面積(1,000㎡)を超えなければ開発許可も要りません。家を建てることについての障害は少なく、建築計画に沿って造成工事をすれば良いだけです。

田や畑を宅地にして家を建てる場合、先ずは建築予定の場所がどのような法規制にあたるのかを確認することから始まります。具体的には検討されている建築会社に敷地調査を依頼し、どうのようにすれば家が建つのか、届出や許可が必要なのかを確認することです。許可が必要な場合であれば、申請から許可までのスケジュールや申請や造成に必要な費用の確認などを抑えるようにして下さい。

2023.06.20

高気密・高断熱、省エネ住宅の基準

省エネ住宅にするための高気密・高断熱は今や当たり前の時代となっています。地球規模の温暖化の問題も絡み、住宅の省エネ基準も何度も見直され今に至りますが、現在の最新の省エネ基準は2022年4月より「改正省エネ法」として施行されています。省エネ基準は素人には中々理解しにくい基準ですができるだけ簡単に解説します。

省エネ住宅の基準には「外皮性能基準」と「一次エネルギー消費量基準」の2点があります。「外皮性能」とは家全体を覆う屋根・壁・窓・床の省エネ性能(断熱)のことですが、断熱性能を数値化したものを「UA値(外皮平均熱貫流率)」といい、「地域区分」により定められた「UA値」の基準値以下の数値にすることで省エネを評価します。

次に「一次エネルギー消費量」ですが、基準水準として「BEI(Building Energy Index)」という指標を使います。「BEI」は実際に建てる建物の「設計一次エネルギー消費量」(住宅設備機器や給湯設備などの機器が消費するエネルギー)から、地域や建物条件などにより定められている「基準一次エネルギー消費量」で除した値であり、「一次エネルギー消費量基準」に適合となる数値は「1.0」以下、すなわち「BEI≦1.0」ならば省エネ基準を満たしていると評価します。

その他の省エネ基準を上回る基準は、省エネ基準を超え低炭素化に資する措置を講じている「低炭素建築物の認定基準」では「BEI≦0.8」、年間300戸以上供給する事業者に対してエネルギー消費量を抑えるための努力義務を定めている「トップランナー基準制度」では「BEI≦0.75」となっています。つまり、省エネ基準のグレードは「BEI」により示されますので、この「BEI」値を目安として省エネ性能を確認することができるのです。

「改正省エネ法」により2025年からは住宅を含むすべての建物について省エネ基準が義務化されます。また、2030年には義務化水準が「ZEH」基準レベルに引き上げられ、建築物の省エネ対策が本格化していきます。高気密・高断熱の省エネ住宅にするには相応のコストが掛かりますが、光熱費を抑えるだけでなく冬場の起こるヒートショックや結露によるカビの繁殖も防ぐことが期待でき、また、健康で快適な住環境と長持ちする住宅を生み出してくれることは間違いありません。国による減税措置や補助金の支援策、住宅ローンの優遇金利などを有効活用して、将来に向けた省エネ住宅を検討してみて下さい。

2023.05.23

ハウスメーカー、ビルダー、工務店の違い

ハウスメーカー、ビルダー、工務店、いずれも住宅を建築する業者の呼び名ですが、その違いについて分からないと言われる方は多いです。異なるタイプの建築業者であり、それぞれに特徴もありますので、その違いについて解説してみます。

ハウスメーカーは、住宅部材の製造及び設計・施工を行う企業体です。自社で営業、設計、施工の部隊を持ち、自社ブランディングから商品開発、大規模な住宅開発事業などもおこなう「総合住宅建設企業」です。自社ブランドを作り、全国に支店を持って数千棟から数万棟の建築をおこなうことができる大企業なのですが、特徴として、建築部材の工業化、分業専従制で効率を図り、独自工法で高品質と保障を訴求するところです。

次にビルダーですが、住宅建築を専門におこなう建築業者のことを指しており、中規模程度の地元企業が多いです。ビルダーの中には都道府県をまたいで事業エリアを広げたり、住宅ブランドのフランチャイズ店をしているところもあります。ハウスメーカー並みに組織化された大手ビルダーもありますが、特徴としては、施工は自社でおこないますが設計やデザインは外注することもあり、顧客の注文に応じて幅広く、臨機応変に対応することを強みとしているようです。

最後に工務店ですが、地元に根付いた小規模な建築業者がほとんどで、地域密着を信条として地道に事業を展開している企業が多いです。技術ある大工を抱え、伝統的な日本建築をする老舗の工務店もあれば、住宅メーカーや大手ビルダーの下請けをしている工務店もあります。個人の住宅を請け負っている工務店の多くは顧客からの紹介で受注をしていますが、これは技術に裏付けされた信用と信頼があるからであり、人間味ある住まいづくりをするのが工務店の特徴といえます。

同じ建築会社でも異なる特徴があるので単純に比較することは難しいですが、例えば、設計の自由性で見ると「 住宅メーカー < ビルダー <工務店 」、施工力では「 住宅メーカー > ビルダー > 工務店 」、一般的な個人住宅のコストを比較すれば、「 住宅メーカー > ビルダー > 工務店 」のように限られた視点で見ることはできます。

建築会社を選択する折には、施主が求めていることに対応している建築会社なのか、希望する条件に沿った建築会社なのかなどを吟味することが大事です。その為にも、建築事例を見せてもらい、詳しく話を聞いて、価値観や共通認識を確認するようにして下さい。

2023.04.20

太陽光パネルのリサイクルと処分

2011年の東日本大震災を境に再生可能エネルギーの需要が高まり、国は再生可能エネルギーの活用を促進するための「再生可能エネルギー特別措置法」や「固定価格買取制度」を制定しました。それにより、早く安価で設置できる太陽光発電システムが急激に普及することとなり、一般住宅への設置だけではなく、事業者による大規模な太陽光発電施設も作られ、現在では全発電量の2割を超えるレベルまでになっています。

再生可能エネルギー代表格でもある太陽光発電システムの普及は歓迎すべきことですが、急激な増加の過程でいくつかの課題を抱えることにもなりました。一つは太陽光パネル設置において環境破壊を起こしかねない事案が見受けられること、もう一つは太陽光パネルの寿命とともに膨大な量の産業廃棄物が生まれ、それをどのように処分していくかという問題です。

太陽光パネルの寿命は20年から30年程度と言われており、2040年頃には最終処分の処理能力を超える大量の太陽光パネルが破棄されることが見込まれています。太陽光パネルは主にシリコン、ガラス、アルミニュウム、銅などの材料で作られているのでリサイクルが可能である一方、鉛・セレン・カドミウムといった有害物質も含まれていますので産業廃棄物として適切に処分をしなければなりません。撤去する折には資格を持つ専門業者に依頼をし、撤去費・運搬費・処分費などの費用を負担する必要があります。

国は、太陽光パネルのリサイクル、リユース、処分を促進するための「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」を公表し、中間処理を行う事業者の技術開発の支援やリサイクルシステムの構築を推し進めています。今後、住宅に太陽光パネルを設置することが義務化されることが見込まれる中、循環型社会の実現には消費者も相応の負担と協力が必要であることを考えると、設置利用者は廃棄に必要な費用の積立などはしておくことが求められます。

 

2023.03.15

住宅ローン事前審査のタイミング

住宅取得時において住宅ローンを利用する場合、借入予定の金融機関に対し「住宅ローン事前審査」を受けておく必要があります。事前審査を受けておくことで建築予算の裏付けができ、安心して商談を進めていくことができるのです。事前審査は債務者となる施主自らが金融機関に足を選び受けるものですが、検討している建築会社の斡旋でおこなっているケースも多いようです。

事前審査は申込者の信用調査(与信)が主な目的です。申込者の属性、職業、収入、家族構成などの個人情報、過去・現在の債務の状況、支払い履歴などを調査し審査をおこなうのです。申込者が希望する借入額もしくは借入可能額の可否を審査してもらい、事前審査が通れば「事前審査決定通知書」が発行されます。これがあれば請負工事契約や売買契約を締結することができるのです。

では、住宅ローンの事前審査を受けるのはいつが良いのか?ですが、住まいづくりは予算を立てた上で進めることが望ましいので、住まいづくりの計画を始められた最初におこなうことをお勧めします。この場合、事前審査は建築する会社や購入する物件が決まっている訳ではありませんので、金融機関に借入可能額を算出してもらい、その借入額の審査を受けるという形で進めるのがいいでしょう。

また、自らが金融機関に出向き相談の上事前審査を受けることをお勧めしましたが、これは貸付ける側(銀行)と直接話ができるからです。貸付する側は無理な返済計画は勧めませんし住宅ローンの中身も詳しく説明してくれるからです。実際、建築会社の提携ローンやネット銀行など、対面の無い形での事前審査はオーバーローンの元になることが多く、また、十分な説明を受けないことで後々トラブルにもなることも多いです。

住宅ローンは低金利で長期に借りれることが最大のメリットです。ただし、借りたお金は長期に渡って支払っていかなければなりません。借りれる額ではなく支払い可能額を借りるということを心掛けて下さい。

2023.02.25

40代・50代の住宅ローン

今や人生100年時代と言われています。特に最近では、子育てを終えた40代・50代の夫婦が自分達らしい生活スタイルに移行したいと考えたり、晩婚化の中、40代・50代で新しい住まいが必要となったりする理由からか、40代・50代の新しい住まいづくりが増えてきているように感じます。

年齢を重ねるとともにライフスタイルと既存の住宅が合わなくなったり、住まいに対する考えや嗜好が変わったりしますので、新しい住まいを求めることはある意味必然と思います。40代・50代の新たな住宅取得は歓迎すべきことであり、国も国民の豊かさの実現や経済への影響を考えた時に促進すべきこととして考え支援していると思います。

さて、40代・50代からの住宅取得で問題となるのは資金です。年齢を考えると現金で購入するのがベストだと思いますが、超低金利時代の今日では住宅ローンを利用して取得することも可能であり利用を考える方も多いと思います。ただし、借入れたものは返済しなければなりませんので、世代的なリスク(病気等)を考慮した上でローンを組むことが必要です。

住宅ローンの完済年齢は金融機関によって異なりますが、住宅支援機構(フラット35)では80歳となっており40代半ばであれば長期(35年)でローンを組むことも可能です。また、万一の場合に備えた「団体信用生命保険」も50歳未満であれば制限無く多様な保険に加入することも可能となっています。

借入についてはどの世代であっても実現可能な返済計画を立てることが重要ですから、特に40代・50代では、働ける期間・健康状態なども十分考慮をした上で借入額を決めるべきです。予算に合わせた住まいを検討することが望ましく、ローンが組めるからと借入可能額に合わせて物件を手に入れるというのはお勧めできません。

何歳であっても新しい住まいや環境は生活に活力を与えてくれ、生き生きと過ごすせるモチベーションになります。住まいが変わればリフレッシュでき、新たな意欲も湧いてきます。それだけメリットがあるだけに、適切な予算で身の丈に合う、ライフスタイル合った住まいを手に入れることが大事だと思います。

 

株式会社スタイルプランニング

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