日銀はデフレ脱却を目指し、長きに渡って大規模な金融緩和政策を取ってきました。民間銀行の日銀当座預金に「-1%」の金利を課す「マイナス金利政策」もその政策の一つなのですが、昨年あたりから「賃金の上昇をともなう安定的な2%の物価上昇」が見えてきたことで、今年3月に「マイナス金利政策」は解除されました。これにより、金融政策は正常化に向けた新たな段階に入ってきたと言われています。
住宅ローンの金利は国債市場で取引される「10年物国債」の利回りを基準として決定しています。日銀は金利を低く抑え込むために「10年物国債」を大量に購入し、長期金利の上昇を抑え込んでいます。「マイナス金利政策」が解除された現在も継続しており、それにより住宅ローンの金利は低い状態のままとなっていますが、「マイナス金利政策」が解除されたことを切っ掛けに、「10年物国債」の金利もジワジワと上がり始め、近いうちに住宅ローンの金利も上がっていくと予測されています。
住宅ローンの特徴は低金利かつ長期間の返済です。それにより多額のお金を借入することができるのですが、支払い額が定額のままで金利が上昇すると当然のことながら借入額は減ってしまいますので、金利の安いうちに住宅ローンを借りる方が得だと考えます。特にフラット35のような長期固定型住宅ローンの場合は借入時の金利で固定されますので、金利上昇前のタイミングで借入すればたしかに得になります。ただし、金利が安いのは経済に様々な問題があるからであり、住まいを取得するタイミングとして必ずしも良い状況とは言えません。それは歴史を振り返れば分かります。
住まいづくりは、自らが住まいを必要とするタイミングで、自分の身の丈に合わせた住まいを取得するという考え方が理想と言われます。住宅ローンの金利は確かに気になりますが、それに一喜一憂することなく住まいづくりの計画を進めていくことが大切なのです。情報過多の現在、日々の情報に振り回されることなく、自分の考えで、必要とする適切なタイミングで、住まいづくりを進めていくということを心掛けて下さい。